作品概要 パリに旅立つ前の三浦が、弘前劇場の長谷川孝治の戯曲をこまばアゴラ劇場で上演した。本作に出演した小林洋平は、タップダンサーになる夢を持ちながらガソリンスタンドでアルバイトする若者を演じ、ドラム缶の上でタップダンスを披露。後に、『かもめ』の青年トレープレフのタップダンスへと受け継がれるシーンである。

 

 

 

 

1998  
日程・会場
1998.9.15-22 こまばアゴラ劇場(東京)
 
長谷川孝治
演出 三浦基
出演 出演:坂本和彦
小林洋平
角舘玲奈
岩崎裕司
スタッフ 美術:突貫屋+ZEST
照明:西本彩
宣伝美術:京
総合製作:平田オリザ
  青年団第4回若手自主公演

 

 

「君は、本気か?」

ある演劇祭の夜、長谷川さんと飲む機会があり、そのとき彼は私にそう言った。緊張する私は、ついつい「はぁー、まぁー」とかのニヤニヤ男になっていた。
常に核心を突く人がいる。そういうタイミングが体にしみてる人がいる。長谷川戯曲には、そんな近づくとやけどしそうな人間がごろごろといる。
ただ出会うことはいつでもたやすい。しかしちゃんと出会うためには、ある日のひらめきと一瞬の思いきりが必要である。
この戯曲を初めて読んでから3年が過ぎた。
「はい、本気です」

1996年6月
三浦基


青年団演出部とは何か?
平田オリザ

青年団には演出部というのが一応あって、演出家や劇作家を目指す人々が集まっています。演出部というと、なんか新劇の大劇団のようですが、別に私は演出家を育てたいと思っているわけでもないし、彼/彼女らが将来、青年団で演出をする、まして戯曲を書くなんてことは、あまり考えていないのです。
私としては、演出部のひとたちには、2、3年うちの劇団にいて、あとは早く出ていってもらいたいのです。早く独立して、劇団を作って、私の戯曲をどんどん上演して、私に上演料をたくさん払って欲しいと願っています。
三浦基は、青年団演出部の一期生で、このたび目出度く文化庁の在外派遣に合格し、フランスで2年間、演出や劇場運営について学ぶことになりました。おそらく、2年後、日本に戻ってきても、劇団に彼の居場所はないでしょう。そういうわけで、この公演は、青年団演出部三浦基の卒業公演であり、また演出家三浦基のデビュー公演なのです。

出典:チラシ