作品概要 京都芸術センターでこの年から始まった演出家の発掘・育成を目的とした演劇事業「演劇計画」の一作品として、京都芸術センターでの滞在制作によってつくられた作品。この作品が上演された頃には既に京都移転の計画があり、京都に招かれて制作する最後の作品となった。京都での初演後、演出家イ・ユンテク氏がディレクターをつとめる蜜陽演劇祭に参加。

 

 

撮影:平野愛
 

 

2004  
日程・会場
2004.7.5-11 京都芸術センター フリースペース
2004.7.29-30 蜜陽(ミリャン)演劇村(韓国)
2004.9.16-20 こまばアゴラ劇場(東京)
 
テキスト 飯田茂実
翻訳 神西清
演出 三浦基
出演 安部聡子
飯田茂実
内田淳子
スタッフ 舞台監督:石田昌也
照明:吉本有輝子
音響:堂岡俊弘
舞台美術:西田聖
映像:山田晋平
演出助手:村川拓也
宣伝美術:京
制作:垣脇純子 筒井加寿子 田嶋結菜[東京公演]
企画:橋本裕介 丸井重樹
総合プロデューサー:平田オリザ[東京公演]
  京都芸術センター演劇製作事業 演劇計画2005
主催 京都芸術センター[京都・韓国公演](有)アゴラ企画・青年団[東京公演]
助成 財団法人地域創造[京都公演]
国際交流基金[韓国公演]
財団法人UFJ信託文化財団[東京公演]
平成16年度文化庁芸術団体重点支援事業[東京公演]
  蜜陽国際公演芸術祝祭正式招待

 

 

出発点に至るまで 

私は作品をつくるとき、ひらめきをとても大切にしています。ひらめくためには、準備をしておかなくてはなりません。ではその準備とは何かということですが、いろいろ工夫します。たとえば、今回はバルテュスの画集、スティーブ・ライヒのCDなどは、常に手の届く場所においておきます。もちろん俳優も手の届く場所にいないと困るので、ある日は10時間稽古します。でもそれは、あくまで工夫の段階なので、ひらめかない限りいくらやってもいけません。ひらめきとは実感と言い換えられます。では私個人の実感などというものが、果たして演劇という方法で通用するのかと大変不安になり、また10時間稽古します。結局、私には、ほとんど生活のすべてが作品をつくる材料になっているということにようやく気がつきました。作品と生活というものの境界線が、自分の中できわめて曖昧です。人間の負の部分を見なくてならないという強迫観念にも似た思いが今の私の生活であり作品です。
人は家族と学校という国に出合います。闇の家族、暗黒の学校、国はファシズムという極悪な状況、それは見方を変えると、青春であり、いたましい人の影だと思います。私にとって飯田氏のテキストはその青春を真正面から見据えるための出発点でした。
 
三浦 基

出典:当日パンフレット