作品概要 「DICTEE」はコリアン・アメリカンのアーティスト、テレサ・ハッキョン・チャの自伝的エクリチュール。詩とも散文とも言えないこのテキストには、複数の言語を生きた彼女自身の生と、日本の侵略による母の世代の苦しみとが、ときに断片的に、ときに別のモチーフを伴って散りばめられている。原作を再構成し、松田正隆による台詞の書下ろしにより舞台化。

 

 

撮影:清水俊洋
 

 

2005  
日程・会場
2005.10.18-28 京都芸術センター フリースペース
 
原作 テレサ・ハッキョン・チャ『ディクテ』(池内靖子訳、青土社)
台詞 松田正隆
演出 三浦基
出演 安部聡子
谷弘恵
広田ゆうみ
兵藤求美
山本陽子
米田晋平
スタッフ 舞台美術:杉山至×突貫屋
照明:吉本有輝子
照明操作:高原文江
音響:堂岡俊弘
音響操作:奥村朋代
映像:山田晋平
衣裳:堂本教子
演出助手:村川拓也
宣伝美術:京
制作:上田千尋、筒井加寿子、本郷麻衣
企画:橋本裕介、丸井重樹
  京都芸術センター演劇製作事業 演劇計画2005
主催 京都芸術センター
助成 財団法人地域創造/アサヒビール芸術文化財団/芸術文化振興基金/財団法人セゾン文化財団/(社)私的録音補償金管理協会(sarah)

 

 

雨を聞き分けることはもはや不可能だ。
もはやできない。聞こえたものはどれなのか。
白鳥。発話。記憶。 ――――テレサ・ハッキョン・チャ『ディクテ』池内靖子訳より

『ディクテ』を読んだ時、このような声にならない声がうねっていた。
私は、この声を舞台で俳優という人間の身体を通して、見たい、聞いてみたいと思った。
『ディクテ』から演劇を導くということは、
俳優という人間を<ノンフィクション>の存在とする作業に他ならず、
それは私自身の演劇への希望と危機感のあらわれそのものだ。

三浦 基

出典:チラシ