作品概要 京都の御所南に位置するカフェ・モンタージュは、オーナーの高田伸也氏の企画によるクラシックのコンサートを中心にしたプログラムで人気を集めている。2012年のオープン当初から声がかかり、翌年にアトリエ開設を予定していた地点は、2012年を通してほぼ毎月、モンタージュでの公演を行った。以後、恒例になりつつあるお正月の公演もモンタージュで初めて行われた。

 

 

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撮影:玉井春美
 

2012-2013  
日程・会場
2012.7.24 / 9.1-2 / 10.8 
2013.1.1-2 / 5.5-11 
カフェ・モンタージュ
原作 アントン・チェーホフ
翻訳 神西清
演出 三浦基
出演 安部聡子
石田大
窪田史恵
河野早紀
小林洋平
スタッフ 制作:田嶋結菜
主催 カフェ・モンタージュ、合同会社地点

 

 

この『かもめ』は劇場以外にも、オペラハウスでやったり一昨年は茶室でやったりと会場を変えながら上演し続けている作品です。それぞれの空間で変幻自在に延ばしたり縮めたりとかなり勝手に演出しています。
最近、熱中して読んでいる本に、『亡命ロシア料理』(未知谷出版)という不思議な魅力のある料理本があります。「家庭料理では、チェーホフの戯曲のように微妙なニュアンスや気分ですべてが決まる。一番初歩的な料理、目玉焼きでさえ、朝、愛する女性に作ればやさしさにとろけるし、長居を決め込んだ従兄弟に作れば、からからに乾いた木の皮になってしまうのだ。」というのを見つけたとき、合点がいきました。私にとってチェーホフの『かもめ』は、慣れ親しんだ材料で、少しセンチメンタルになったり、気兼ねなく不満を言ったりして味わえる、家庭料理ならぬ家庭演劇なのです。そういう意味では、このモンタージュでみなさんに振る舞えるのは最高の幸せなのかもしれませんね。

三浦 基

出典:当日パンフレット