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勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。
覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。
カルチュアというのは、公式や単語をたくさん暗記している事でなくて、心を広く持つという事なんだ。
つまり、愛するという事を知る事だ。

全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。
これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん。
そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。
ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!

太宰治『正義と微笑』より

 

この度、アンダースローでは「カルチベート・プログラム」を始動し、参加者を募集いたします。
本プログラムは、およそ3ヶ月の間に地点によるレパートリー作品を6本まとめて鑑賞し、参加者がテキスト(主題・文体・歴史的背景)、空間造形、演技、演出といった劇の構成要素をそれぞれ個別に把握できるようになることで、総合的に舞台作品を見る技術を獲得し、より豊かな感性や楽しみを個々人が発見することを目的としています。

内容
・アンダースローで上演される6本の公演をすべて観劇し、3回のレクチャーを受講する(観劇及び受講は全て無料)
・修了後、プログラム全体や個別の作品に関する報告エッセイを作成する(エッセイは冊子にまとめる予定です)

対象(一つ以上にあてはまること)
・芸術に興味がある人
・演劇の見方を知りたい人
・観客、俳優、スタッフとして演劇に関わりたい人
・舞台作品をとにかくたくさん見たい人
・現代演劇について学びたい人
・アートマネージメント全般に興味がある人
・アートスペースの運営に興味がある人
・劇団に興味がある人
・批評やジャーナリズムに興味がある人

条件
・6作品すべてを一度観劇し、3回開催されるレクチャーに参加できるよう計9日間のスケジュール調整ができること
・修了後、報告エッセイを作成すること

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申込方法
下記の書類を添えて郵送もしくはEメールでお申込みください。(書式自由)
①申込書(氏名、年齢、所属/職業、住所、メールアドレス、携帯電話番号)
②自己紹介、応募理由、本プログラムに期待することなどをまとめた文章(400〜800字程度)
定員:40名 応募多数の場合は選考を行います。
応募締切:2014年9月26日(金)必着
選考結果は2014年9月30日(火)までに応募者全員に通知します。

お申込み・お問合せ
合同会社地点 606-8266 京都市左京区北白川久保田町64-22
Tel. 075-888-5343 Fax. 075-888-5344
e-mail. info@chiten.org

助成:文化庁委託事業「平成26年度文化庁戦略的芸術文化創造推進事業」
主催:文化庁、合同会社地点
制作:合同会社地点

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6本の作品

各演目とも、4日間の公演期間中一日を選んで観劇できます。また、公演期間中には本プログラムの関連イベントとしてアフタートークが全演目につき一度ずつ開催されます。

*プログラム受講者も一般の観客と同じく、観劇日時が決まったらその都度予約が必要です。トークのある回など、人気が高い回でも、プログラム受講者が優先される訳ではありませんのでお気をつけ下さい。
 

1 かもめ

作:アントン・チェーホフ 翻訳:神西清

大女優のアルカージナは恋人で人気作家のトリゴーリンを伴って湖畔の屋敷に戻ってきている。革新的な作家になることを志す息子のトレープレフ、女優を夢見るその恋人ニーナ。若いふたりによる劇が仮設舞台で上演される。トレープレフに片思いするマーシャ、マーシャに求婚しているメドヴェージェンコの姿もそこにはある――。アンダースロー版の『かもめ』では、開場中のティーサービスとニーナによる劇の解説も見どころの一つ。

日程:2014年
10月24日(金)20:00
10月25日(土)20:00
10月26日(日)20:00
10月27日(月)19:30★
上演時間:約80分
★=トークあり
ゲスト:野口順哉(バンドマン)
1985年東京生まれ。2006年、早稲田大学在学中にバンド「空間現代」を結成。ギターボーカルとして作曲に携わる他、作詞も行う。2009年にレーベルHEADZより1stアルバムをリリースして以降、東京を拠点に精力的なライブ活動を続ける。

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2 桜の園

作:アントン・チェーホフ 翻訳:神西清

「桜の園」と讃えられる美しい庭を持つ屋敷。贅沢と浪費の末に借金の抵当に入った屋敷を取戻そうともがく女主人ラネーフスカヤは、しかし、商人ロパーヒンの別荘建築案に賛成できない。山と積まれた窓枠は売り払われた屋敷の形見であり、ビジョンの残骸でもある。古い価値観に縛られ、置き去りにされる人間と、新しい制度の中でも決して充足を得ることのできない不安な存在としての人間を描いたチェーホフの遺作。

日程:2014年
11月1日(土)20:00
11月2日(日)20:00
11月3日(月・祝)20:00
11月5日(水)19:30★
上演時間:約80分
★=トークあり
ゲスト:川島小鳥(写真家)
1980年生まれ。著書に写真集『BABY BABY』、『未来ちゃん』など。第42回講談社出版文化賞写真賞を受賞。今秋、詩人の谷川俊太郎氏との共著『おやすみ神たち』と、年内に写真集『明星』を刊行予定。

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3 ワーニャ伯父さん

作:アントン・チェーホフ 翻訳:神西清

2007年より〈地点によるチェーホフ四大戯曲連続上演〉シリーズに取り組み、長年チェーホフ劇を上演してきた地点。シリーズ中、もっとも上演回数の多いのが実はこの『ワーニャ伯父さん』です。一台のグランドピアノを配したシンプルな舞台。中央には鳴らないピアノから下りることのできないワーニャとソーニャ。何のために苦しみながら生きるのか。百年、二百年先の人類の幸福と、重くのしかかる日常の倦怠を問う、辛辣で滑稽な物語。

日程:2014年
11月22日(土)20:00
11月23日(日・祝)20:00
11月24日(月・振替休日)20:00
11月25日(火)19:30★
上演時間:約80分
★=トークあり
ゲスト:飯田豊(立命館大学産業社会学部准教授)
1979年広島県生まれ。専門はメディア論、文化社会学。編著に『メディア技術史―デジタル社会の系譜と行方』(北樹出版、2013年)、共著に『ヤンキー人類学』(フィルムアート社、2014年)など。

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4 CHITENの近未来語

使用テキスト:今日の新聞(朝日新聞日刊)、小松左京『さよならジュピター』、『果しなき流れの果に』、『神への長い道』、『戦争はなかった』

アンダースローのオープニング作品として制作された衝撃作再び。本番当日の朝刊と小松左京によるSF小説をコラージュするという奇想天外な発想のもと制作された。はるか未来や何億光年も先の星々に思いを馳せるSFの想像力と、昨日・今日・明日という日常の時間軸を交錯させることで、宇宙から日本の「今」を見つめてみようという試み。

日程:2014年
12月23日(火・祝)20:00
12月24日(水)20:00
2015年
1月16日(金)20:00★
1月17日(土)20:00
上演時間:約60分
★=トークあり
ゲスト:青山真治(映画監督)
1964年北九州生まれ。2000年、『EUREKA』でカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞、エキュメニック賞を受賞。ほか主な作品に、『Helpless』(1996年)、『サッドヴァケイション』(2007年)など。

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5 CHITENの近現代語

使用テキスト:大日本帝国憲法(御告文・憲法発布勅語・本文)、朝吹真理子『家路』、玉音放送(終戦の詔勅)口語訳、日米記者クラブ公式記者会見記録(1975年10月31日)、別役実『象』、『犬養木堂氏大演説集』、日本国憲法前文

日本の近代の始まりから終わり、すなわち大日本帝国憲法の制定から敗戦を経て日本国憲法の発布に至るまでを、文体も用途もバラバラな言葉をコラージュすることによって描いた問題作、いよいよアンダースローに初お目見え! 原爆投下、玉音放送、毎年めぐってくる終戦の季節……。様々なテキストをつなぎ合わせているのは、観客に共有されている日本の歴史。日本で上演し続けたい地点の〈隠れた名作〉。

日程:2014年
12月27日(土)20:00
12月28日(日)20:00
2015年
1月18日(日)20:00★
1月19日(月)20:00
上演時間:約60分
★=トークあり 
ゲスト:朝吹真理子(作家)
1984年東京生まれ。2009年、「流跡」でデビュー。翌年、同作で堀江敏幸氏選考によるBunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2011年、「きことわ」で第144回芥川賞受賞。

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6 ファッツァー

作:ベルトルト・ブレヒト 翻訳:津崎正行 音楽:空間現代

戦車と機関銃の登場で大量殺戮が可能になった第一次世界大戦中。塹壕から逃げ出した脱走兵ファッツァーと仲間たちは地下室に潜伏し、革命が起こって戦争が終わるのを待つ。しかし、結末に待つのは団結の失敗と死ーー。絶望的な話にも関わらず、ブレヒト流の諧謔と笑いに満ちた、不思議な魅力をもったテキスト。大音量の迫力で繰り出される空間現代の音楽もこの作品には欠かせない要素の一つです。

日程:2015年
1月10日(土)20:00
1月11日(日)20:00
1月12日(月・祝)20:00
1月13日(火)20:00★
上演時間:約65分
★=トークあり
ゲスト:吉岡洋(京都大学大学院文学研究科教授)
1956年京都生まれ。専門は美学芸術学、情報文化論。PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015プロフェッショナルアドバイザリーボードメンバー。批評誌「Diatxt.」(京都芸術センター2000-2003)編集長などを務める。

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演出:三浦基/出演:安部聡子 石田大 小河原康二 窪田史恵 河野早紀 小林洋平/美術:杉山至+鴉屋(4・5除く)/衣裳:堂本教子(5除く)/照明:藤原康弘/音響:堂岡俊弘/舞台監督:大鹿展明/制作:小森あや 田嶋結菜



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3回のレクチャー

各演目とも、4日間の公演期間中一日を選んで観劇できます。また、公演期間中には本プログラムの関連イベントとしてアフタートークが全演目につき一度ずつ開催されます。

*プログラム受講者も一般の観客と同じく、観劇日時が決まったらその都度予約が必要です。トークのある回など、人気が高い回でも、プログラム受講者が優先される訳ではありませんのでお気をつけ下さい。
 

レクチャー1:テキストと革命

〈テキスト〉とはなんでしょう。地点の創作の現場でも、しばしば構成作業前の戯曲や、原作となる小説を〈テキスト〉と呼ぶことがあります。それは小説、戯曲、散文といった文章の形態や単なる〈言葉〉とは違う概念なのでしょうか。〈テキスト〉について思いを巡らすことから、言葉と演劇について考えます。

日時:2014年11月4日(火)19:00〜22:00

登壇者:佐々木中(作家・哲学者)
1973年青森県生まれ。2007年東京大学人文社会研究科より博士号(文学)を授与。『夜戦と永遠-フーコー・ラカン・ルジャンドル』(以文社、2008年/河出書房新社、2011年)、『切りとれ、あの祈る手を〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』(河出書房新社、2010年)など著作多数。
レクチャー2:音/声が生まれる!

台詞を言うことを、「発語する」と表現することがあります。耳慣れない言葉ですが舞台で物を言う場合、一文字一文字、一音一音を丁寧に出力していくことが、言葉の意味や内容を伝える以前に、おろそかにできないこととしてある、という思いがそのような表現にこめられているように思います。人工音声の研究+アート活動を続けるフォルマント兄弟とともに、言葉を言う/発語することについて改めて考えてみましょう。

日時:2014年12月21日(日)15:00〜18:00

出演:フォルマント兄弟(三輪眞弘&佐近田展康)
フォルマント兄弟(Formant Brothers)は、三輪眞弘(兄)と佐近田展康(弟)という父親違いの異母兄弟によって2000年に結成された作曲・思索のユニット。テクノロジーと芸術の今日的問題を《声》を機軸にしながら哲学的、美学的、音楽的、技術的に探求し、21世紀の《歌》を機械に歌わせることを目指す。
レクチャー3:カルチベート宣言〜芸術なしでは生きられない

報告エッセイを書く前に、プログラム全体を振り返って疑問や感想を共有し、深める場を持ちます。批評という立場から〈演劇を食べてかみくだいて生きている〉お二人を迎え、見ることと書くこと、感じることと言葉にすることについて語ります。

日時:2015年1月24日(土)18:00〜21:00

登壇者:藤原ちから(編集者・批評家)
1977年高知県生まれ、横浜在住。BricolaQ主宰。雑誌「エクス・ポ」、武蔵野美術大学広報誌「mauleaf」、世田谷パブリックシアター「キャロマグ」などを編集。主に舞台芸術について様々な記事を執筆。共編著に『〈建築〉としてのブックガイド』(明月堂書店)。共著に『演劇最強論』(飛鳥新社)。2014年4月、演劇センターFの立ち上げに関わる。

登壇者:森山直人(演劇批評家)
1968年東京生まれ。京都造形芸術大学芸術学部舞台芸術学科教授、同大学舞台芸術研究センター主任研究員、及び機関誌『舞台芸術』編集委員。KYOTO EXPERIMENT(京都国際舞台芸術祭)実行委員長。著書に『舞台芸術への招待』(共著、放送大学教育振興会)など。主な論文に、「沈黙劇とその対部――あるフィクションの起源をめぐって」他多数。