イヴ・シリーズについて


アンダースローでは、新たにイヴ・シリーズを立ち上げます。イヴとは〈前夜〉。舞台作品ができあがる前夜、最初の段階でありながら既にクライマックスでもあるテキストとの出会いの瞬間を、観客の皆様と共有しようという試みです。
ひとつの舞台作品を作り上げるには、長期に渡る稽古や、舞台美術・照明・音響といったスタッフワーク等、多くの時間と労力がかけられます。そのため、取り組むことができるテキストには限りがあります。このシリーズでは、主に戯曲を取り上げ、読むことに特化した舞台とすることで、より多くの劇言語に触れる機会を提供します。いわゆるリーディング公演よりもパフォーマティブ、しかしながら、地点の完成された舞台作品よりも荒削りな分、テキストという素材そのものを味わっていただけるのではないかと考えています。
2022年度は3作品の上演を予定しています。どうぞお楽しみに!

 

 
 
理解したのは二度です。
すべては無限だから、すべてというものの複数性について語ることはまったく無意味だ。
今度三回目に理解すれば、たぶんそれでおしまいです。

————ヴィトカツィ『水鶏』より 
 
 

イヴ・シリーズの第一弾として取り上げるのは、20世紀ポーランドを代表する芸術家ヴィトカツィによる『水鶏(くいな)』です。同じ名前の父親と訣別するために、自らを「ヴィトカツィ」と名づけたこの作家は、1920年代に活躍し、死後、1970年代に再評価されました。「チスタ・フォルマ」(チスタは「純粋な」、フォルマは「形式」の意味)を提唱し、“メロドラマ、リアリズム演劇、心理劇、道徳劇を激しく憎んだ”とも言われるその作風は、不条理劇の先駆けと言われています。
『水鶏』は、三世代に渡って同じ女性と出会い、恋し、別れる様子が繰り返される一風変わった戯曲。十歳の少年が成長する一方、若返っていく女、繰り返される死など、荒唐無稽な設定が盛りだくさん。ヴィトカツィ独特の世界をどうぞお楽しみください。
 
 
 
作:ヴィトカツィ
翻訳:関口時正 
 
演出:三浦基 
出演:安部聡子 石田大 小河原康二 窪田史恵 小林洋平 田中祐気 
   足達菜野 丹羽彩夏(劇団キンダースペース)
 
照明:藤原康弘
宣伝美術:松本久木
制作:田嶋結菜 
 
日程:
2022年
8月5日(金)18:00
8月6日(土)18:00
8月7日(日)18:00
8月8日(月)18:00             
 
会場: アンダースロー
京都市左京区北白川久保田町21地下1階
 
料金:
一般 3,000円 学生 2,000円
シリーズ通し券 5,000円(数量限定)
 
チケット発売日:2022年7月2日(土)
 
チケット取扱:
▶︎teket *クレジットカード及びコンビニ決済にて事前にお支払い
https://teket.jp/
▶︎アンダースロー予約フォーム *当日受付にてお支払い
http://chiten.org/underthrow_form/
 
 
 
ヴィトカツィ/スタニスワフ・イグナツィ・ヴィトキェーヴィチ 
Witkacy / Stanislaw Ignachy Witkiewicz
1885年、ポーランドのワルシャワに生まれる。20世紀ポーランドを代表する劇作家・画家。同じく画家で建築家でもあった同じ名前の父スタニスワフ・ヴィトキェーヴィチと自らを区別するため、ヴィトカツィという名前で作家活動を行う。生涯の大半を南部山岳地帯のザコパネの町で過ごした。主な戯曲に『小さなお屋敷で』『狂人と尼僧』『母』など。1939年9月、ソ連軍侵攻の報に接してイェジョーリ村(現在のウクライナ)にて自殺。