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劇団CHITEN

るつぼ

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作品概要
当時、演出家・鈴木忠志が芸術監督をつとめていたSPAC「Shizuoka春の演劇祭2006」からの依頼で制作された。京都移転後に制作した作品で初めて海外公演を行ったのもこの作品だった。初演を行った5月から、幾度かの公演を経て長期に渡り創作を続けていくというスタイルは、2009年の『あたしちゃん、行く先を言って』へ踏襲されていく。

この作品はアーサー・ミラーの戯曲『るつぼ』をもとにつくった作品です。もとにということは、原作の戯曲から触発されたイメージを抽出して舞台化したとも言えますが、私にとってこの作品での再構築という作業は、原作と対話するというのが、一番ふさわしい言い方だな、と最近思い始めました。〈『るつぼ』との対話〉という劇を作ったことになります。なんだか、ややこしくカギカッコがめだつタイトルですが、実は、このカギカッコこそが、『るつぼ』の原作が持っているややこしさであり、演出という作業の本質なのです。
私の演出では、「男」という原作にはない人物が登場します。ミラーは、彼のほかの作品と比べても異例なほど『るつぼ』では膨大な解説文を書き込んでいます。その解説文を発する人物を舞台に登場させて、本来の『るつぼ』の劇中人物と出会わせてみよう、と思いました。つまり、通常の台詞のほかに、ミラー自身の言葉を舞台上で発する「男」をおくことで、私たちと『るつぼ』との距離を明確にしてみたいと考えました。
エジプトのカイロで上演することをきっかけに、さらに「男」は、原文にあるミラーの母国語である英語を発するようになりました。私は海外で公演するとき、できる限り、現地語を使用して上演していますが、今回は作家の言語という点において、単に情報を伝えるという意味以上の意味を発見しました。それは、日本人が英語で話すときの空々しさと、アメリカナイズされてきた日本のこれまでの歴史的記憶が、アラブ圏の観客を前にしたとき、予想以上に緊張をもって感じられたということです。私たちは政治的なイメージを伝えるための演劇を行っているわけではないということが顕著化し、逆にミラー自身の政治性が表現となって浮き彫りにされたことは、めずらしい体験でした。 今回の鳥取公演を機会に、それを踏まえて、今一度、〈『るつぼ』との対話〉のカギカッコについて、考えられることを幸せに思います。恐縮ですがぜひ、原作の筋については左記の「ものがたり」を読んでください。というのは、私の劇で『るつぼ』のストーリーは、理解できません。どのように、それと対話するか、ということからスタートしています。このような劇に少しでも、関心を持っていただき、何かひとつでも感じ取っていただけたら幸いです。

三浦 基
出典:当日パンフレット

  • 2006
    日程・会場
    2006.5.26 静岡芸術公園BOXシアター
    2006.6.3-4 京都芸術センター フリースペース
    2006.9.13-14 Al-Gomhoureyya Theatre(カイロ・エジプト)
    2006.9.30 鳥取県立県民文化会館 梨花ホール
    アーサー・ミラー

    演出 
    三浦基
    出演 
    安部聡子 
    石田大 
    大庭裕介 
    小林洋平 
    谷弘恵 
    山本陽子
    スタッフ
    演出助手:村川拓也
    照明:吉本有輝子
    映像:山田晋平
    美術:杉山至x突貫屋
    音響:堂岡俊弘
    衣裳:堂本教子
    照明オペレーター:伊藤泰行
    舞台監督:浜村修司 
    米谷有里子[京都公演]
    宣伝美術:納谷衣美
    宣伝美術作品提供:下森明香
    制作:田嶋結菜
    橋本制作事務所[京都公演]
    主催
    地点
    鳥取県 アーツデザイン・とっとり実行委員会[鳥取公演]
    共催
    京都芸術センター[京都公演]
    助成
    平成18年度文化庁創造活動重点支援事業 財団法人セゾン文化財団 アサヒビール芸術文化財団[京都公演]
    平成18年度文化庁国際芸術交流支援事業[カイロ公演]
    京都芸術センター制作支援事業[京都公演]
    受賞
    第18回カイロ国際実験演劇祭 ベストセノグラフィー賞受賞

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