2022/11/01 Category:

元劇団員との裁判についてのご報告

 
 
地点が元劇団員との間に和解が成立したことの確認を求めて提起した訴訟につきまして、過日、証人尋問が終了しました。今後は、2023年1月24日の弁論をもって結審し、判決が出る見込みです。
 
◎これまでの経緯
 
  ※地点は元劇団員との間に和解契約を結んでおり、この契約には口外禁止条項が含まれます。
  これまでの経緯についての説明については、この条項に抵触しない限りの記載となりますこと、ご了承ください。
  尚、すでに公開している訴状においてもこれまでの経緯についてまとめています。
 
 
地点は合同会社地点として全ての所属俳優に毎月固定給で出演料を支払っており、地点の舞台に出演しない俳優を俳優として雇用し続けることは難しいという判断をせざるを得ませんでした。結果、元劇団員は退団することになったのですが、これが不当解雇にあたるとして、元劇団員が加入した「映演労連フリーユニオン」(以下、ユニオン)との間に2019年9月より団体交渉が行われていました。ユニオンが地点との団体交渉に世間の耳目を集めるため、俳優の雇用問題よりはるかに大きな関心を集めやすいパワハラをことさら主張する必要があったのではないかと考えています。
 
団体交渉は2020年3月5日の和解成立をもって終了しましたが、2020年9月16日付で元劇団員から和解不成立を主張する文書が突如送付されてきました。その根拠とされる出来事に対する裏付けは今もって得られず、また、地点からの解決金を受領しながら当該主張が行われるなど、不可解な点が数多くありました。また、2021年1月26日の元劇団員による記者会見をはじめ、多くの契約違反があったことを大変残念に思っています。
 
 
◎活動への影響とこれまでの対応
 
地点と団体交渉中だったユニオンがパワハラ問題が存在するとの主張をウェブ上に公開して以降、SNS上での多くの放言や誹謗中傷、裏付け取材なしの報道、それらを根拠とした地点の活動そのものの見直しを求める取引先への問い合わせ等が多数ありました。さらに、2021年1月26日の記者会見において、地点が求める裁判が「スラップ訴訟」であるという誤ったコメントが亀石倫子弁護士からなされたため、風当たりは一層強くなりました。精神的・経済的負荷を抱えながらの創作と公演活動はすでに3年以上続いています。
 
これまで、元劇団員との問題はあくまでいち私企業内の問題と位置付け、無用な好奇心を招かぬ為、また、穏便な解決の余地を残す為、情報発信を控えてきました。とりわけ2021年6月に訴訟を提起して以降は、司法に判断を仰いだ以上、私たちの主張は裁判の場でのみ行うと決めてきました。事実関係を当事者間できちんと確認する作業を求めての提訴でしたが、そのような私たちの求めに対して、憲法で保障されている「裁判を受ける権利」をさえないがしろにするような発言が平気でなされていることには衝撃を受けました。
 
 
◎今後の対応
 
すでに公開されている地点の訴状に明らかなように、この裁判はあくまでも元劇団員との間に和解が成立していたことを確認する訴訟であり、スラップ訴訟ではありません。前述の通り、多くの契約違反があり、今後も権利が侵害されるという不安があったために提起した裁判でした。にも関わらず、レッテルによる不当な批判を受け続けなければならないことに非常に苦しめられてきました。今回の証人尋問冒頭で、これまで提出された書面が法廷に顕出されて公開された今、必要に応じて情報を開示していくべき時期が訪れたとの結論に至りました。11月中には、尋問でなにが証言されたかが尋問調書にまとめられますが、この尋問調書をはじめとした訴訟資料を必要に応じて公開していくことを視野に入れています。
 
今後の情報発信によって、地点が経験してきた一連の出来事(レパートリー制度と俳優の雇用にまつわる困難、SNSによって引き起こされるキャンセルカルチャー、公共劇場の人事を巡る問題点等)を日本の舞台芸術のあり方を考えるひとつの材料としていただければとも思います。今後とも関心をお寄せいただければ幸いです。
 
 
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