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言葉があり、空間があり、音楽があり、身体がある。
舞台芸術が総合芸術ともいわれることは周知の通りです。
ただし一口に舞台芸術といっても、日本には能・歌舞伎・文楽といった伝統芸能もあれば、
近代化とともに輸入されて以降、
時代に応じてさまざまな技術や才能を生み出してきた現代演劇もあります。


「観劇観能エクスチェンジプログラム」は、能楽と現代演劇の舞台をどちらも鑑賞することで、
両者の相違点と共通点を見出し、総合的に舞台作品を見る方法を参加者が発見することによって、
観劇の楽しみを体得することを目的としたプログラムです。


 

内容
・3回の観劇、3回の観能、4回のレクチャーに参加する(観劇・観能及び受講は全て無料)
・修了後、報告エッセイを書く(エッセイは冊子にまとめる予定です)


対象(一つ以上にあてはまること)
・芸術に興味がある人
・演劇の見方を知りたい人
・お能の見方を知りたい人
・観客、俳優、スタッフとして舞台芸術に関わりたい人
・舞台作品をとにかくたくさん見たい人
・現代演劇や能楽について学びたい人
・アートマネージメントに興味がある人
・アートスペースの運営に興味がある人
・批評やジャーナリズムに興味がある人
・日本の歴史や文化について考えたい人


条件
・対象作品をすべてを観劇し、レクチャーに参加できるよう計10日間のスケジュール調整ができること
・修了後、報告エッセイを書くこと


申込方法
下記の書類を添えて郵送もしくはEメールでお申込みください。(書式自由)
①申込書(氏名、年齢、所属もしくは職業、住所、メールアドレス、携帯電話番号)
②自己紹介、応募理由、本プログラムに期待することなどをまとめた文章(400〜800字程度)
③観劇観能アンケート(要項添付のアンケートフォームへのご記入をお願いたします。要項がお手元にない方はメールにてお問合せください)

定員:40名 応募多数の場合は選考を行います。

応募締切:2018年6月30日(土)必着
選考結果は2018年7月7日(土)までに応募者全員に通知します。

お申込み・お問合せ
合同会社地点 606-8266 京都市左京区北白川久保田町64-22
Tel. 075-888-5343 Fax. 075-888-5344
e-mail. info@chiten.org
 

主催:合同会社地点 助成:公益財団法人セゾン文化財団、公益財団法人全国税理士共栄会文化財団

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3+3本の作品鑑賞

 

現代演劇

1 忘れる日本人 

作:松原俊太郎 演出:三浦基 

処女戯曲『みちゆき』がAAF戯曲賞を受賞し、鮮烈なデビューを果たした1988年生まれの若き作家・松原俊太郎。本作は、震災以降の日本社会に対する痛烈な批判でありながら、死者とともにあること、忘却についての哲学的論考を含む大作です。行き場を求めて右往左往する人々の姿は、不思議と深刻さからは無縁であり、祝祭空間としての劇場を強く意識させます。

日程:(いずれか一回を観劇) 
2018年
7月18日(水)19:30
7月19日(木)19:30
7月20日(金)19:30
7月21日(土)15:00
上演時間:約90分

会場:ロームシアター京都 ノースホール

2 汝、気にすることなかれ 

作:エルフリーデ・イェリネク 演出:三浦基 

オーストリアのノーベル賞作家エルフリーデ・イェリネクによる、「シューベルトの歌曲にちなむ死の三部作」と副題のついた本作は、長大なモノローグの応酬。「演劇のためのテキストではあるが上演のためのテキストではない」と作者自らが語る通り、再構成やコラージュを前提とした言葉の渦はいったいどのようにして舞台に立ち現れるのでしょうか。役柄や物語すらほとんどない、現代演劇の最先端!

日程:(いずれか一回を観劇) 
2018年
8月2日(木)20:00
8月3日(金)20:00
8月4日(土)20:00
8月5日(日)20:00
上演時間:約70分

会場:アンダースロー 地図はこちら
3  ワーニャ伯父さん 

作:アントン・チェーホフ 翻訳:神西清

ロシアの劇作家アントン・チェーホフは革命前のロシアで市井の人々を描き、演出家スタニスラフスキーとともに近代劇の礎を築きました。地点版では四幕の原作を一幕に再構成して上演。戯曲の世界を高度に抽象化した舞台空間と「地点語」ともいわれる独自の台詞まわしで高く評価されています。百年、二百年先の人類の幸福と重くのしかかる日常の倦怠を問う、辛辣で滑稽な物語。

日程:(いずれか一回を観劇) 
2018年
9月8日(土)20:00
9月9日(日)20:00
9月10日(月)20:00
9月11日(火)20:00
9月12日(水)休演日
9月13日(土)20:00
9月14日(日)20:00
9月15日(月)20:00
9月16日(火)20:00
上演時間:約80分(予定)

会場:アンダースロー 地図はこちら

能楽

1 林定期能 能『清経』、狂言『苞山伏』、能『楊貴妃』、能『雷電』

 

抒情系修羅能の代表作『清経(きよつね)』、鬘物(かずらもの)の中でも特に「三貴人の一」とされる『楊貴妃』、上演が稀な菅原道真の復讐劇である切能『雷電』。加えてこちらも京都ではあまり舞台にかからない狂言『苞山伏(つとやまぶし)』。能三番と狂言一番の上演です。中でも『楊貴妃』は、死んだ人物が幽霊として現世に現れるのではなく、冥界に「方士」が訪ねていく、能としては不思議な台本です。

日程:2018年7月22日(日)12:30開演
会場:京都観世会館
2 観世青年研究能 能『田村』狂言『伯母ヶ酒』能『野守』

「祝言の修羅」と称される能、清水寺の観世音菩薩の霊験譚を坂上田村麻呂が力強く語る『田村』。春日野の「野守の鏡」の伝説を、野守の鬼が現れ披歴する能『野守』。狂言『伯母ヶ酒』では酒にまつわる伯母と男の滑稽なやりとりに思わず笑ってしまいます。能楽の次代を担う、修行段階にある若者たちの力一杯の演技が楽しめるのが青年研究能。650年の伝統に思いを馳せるのも観能のロマンです。

日程:2018年8月12日(日)13:00開演
会場:京都観世会館

3 片山定期能 能『野宮』狂言『文荷』能『熊坂』

 

「祝言の修羅」と称される能、清水寺の観世音菩薩の霊験譚を坂上田村麻呂が力強く語る『田村』。春日野の「野守の鏡」の伝説を、野守の鬼が現れ披歴する能『野守』。狂言『伯母ヶ酒』では酒にまつわる伯母と男の滑稽なやりとりに思わず笑ってしまいます。能楽の次代を担う、修行段階にある若者たちの力一杯の演技が楽しめるのが青年研究能。650年の伝統に思いを馳せるのも観能のロマンです。


日程:2018年9月16日(日)12:30開演
会場:京都観世会館

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4回のレクチャー

 

舞台を見て感覚的に捉えた「おもしろさ」や「魅力」を言語化し、考えを深める機会として4回のレクチャーを開催します。今年度は主に「序破急」をテーマに、日本古来の様式美や間合いについての感覚が現代においてどのように知覚されているのか検証します。

周回遅れの前衛〜能楽とその魅力

日時:2018年7月28日(土)14:00-17:00
会場:アンダースロー

レクチャー初回は、長年能楽研究に携わり、「能は周回遅れの前衛」と語る天野文雄さんをお招きします。地点の舞台作品に見られる劇の諸要素(戯曲・演出・俳優・舞台空間・音楽性)が能楽のそれらと比べてどのような共通点や相違点を持つのか、舞台芸術作品の「前衛性」とはなにか、考えます。
 
講師:天野文雄 

1946年、東京生まれ。京都造形芸術大学舞台芸術研究センター所長。大阪大学名誉教授。専門は能楽研究。観世寿夫記念法政大学能楽賞、日本演劇学会河竹賞などを受賞。著書に『世阿弥がいた場所――能大成期の能と能役者をめぐる環境』『能苑逍遥〔中〕能という演劇を歩く』『能に憑かれた権力者―秀吉能楽愛好記』『現代能楽講義』など。

音楽を超えて〜序破急と身体感覚

日時:2018年8月25日(土)14:00-17:00
会場:アンダースロー

「序破急」とは、もとは雅楽の演奏についての言葉で、無拍子かつ低速度の「序」、拍子が加わる「破」、さらに加速する「急」の三部構成を指します。囃子方として、ロックバンドのメンバーとして、舞台で演奏を担うおふたりをお招きし、舞台における音楽が言葉や演者の身体とどのように関係しているのか、それぞれ語っていただきます。

講師:

曽和鼓堂
幸流小鼓方。1973年生まれ。古来より芸事が上達すると言われる、6歳の6月6日から小鼓の稽古を始め、10歳の時「小鍛冶」で初舞台を踏む。祖父・博朗(人間国宝)、父・正博(重要無形文化財保持者)に師事。重要無形文化財能楽(総合指定)保持者。

野口順哉 
1985年東京生まれ。2006年、バンド「空間現代」を結成。ギターボーカルとして作曲に携わる他、作詞も行う。2009年に1stアルバムをリリースして以降、精力的なライブ活動を続ける。2016年、京都・浄土寺にスタジオ兼ライブハウス「外」をオープン。
能舞台と序破急〜隠された関係に迫る!

日時:2018年10月20日(土)14:00-17:00
会場:大江能楽堂

近代以降、舞台芸術の多くは、劇場や能楽堂など、外界とは遮断された建物のなかで演じられます。緞帳のある西洋的なプロセニアム劇場と能楽堂はそれぞれまったく異なる建築ですが、それらは無論、それぞれの表現と深く結びついています。能舞台の建築様式は「序破急」とも関係があった……? 隠された関係に迫ります。

講師:
松永直美
東京・御茶の水の画材店「レモン画翠」(大正12年創業)代表取締役。日本建築学会情報システム技術本委員会委員。能舞台様式と能を構成する舞踏・劇・音楽との関係性について興味をもち研究を行っている。大阪大学大学院工学研究科の博士学位論文に「世阿弥以降の能舞台様式の変化と『序破急(序破急五段)』の関係性の研究」(2017年)がある。

田茂井廣道  
観世流シテ方として幼少より河村晴夫、長じて13世林喜右衛門に師事。公益社団法人能楽協会社員、同京都支部教育特別委員。京都芸術センター主催「素謡の会」ナビゲーター、および「T.T.T.(トラディショナル・シアター・トレーニング)」講師を務める。新作能『田道間守(たじまもり)』を制作し、脚本を担当。重要無形文化財能楽(総合指定)保持者。
能楽と現代演劇のあわい

日時:2018年11月24日(土)14:00-17:00 
会場:アンダースロー

「間」はAとBとの間隙をいいますが、「あわい」は「合う(会う)」を語源とし、AとBの重なりをいいます。人と人との「あわい」、人と自然との「あわい」、西洋と東洋の「あわい」……。そして、シテ方と観客の「あわい」としてのワキ方とは? これまでのプログラムを通じて感じたこと、考えたことを拡張し、深めます。
 
講師:安田登
1956年千葉県生まれ。下掛宝生流ワキ方能楽師。『論語』などを学ぶ寺子屋「遊学塾」を、東京(広尾)を中心に全国各地で開催する。著書に『能に学ぶ「和」の呼吸法』(祥伝社)、『あわいの力』『イナンナの冥界下り』(以上、ミシマ社)など多数。
ナビゲーター:三浦基
レクチャーの全回に参加し、演出家の立場から能と現代演劇について参加者とともに考えます。
 
*プログラム参加者以外の方は有料で受講可能です。
2018年7月7日(土)より受付開始
入場料:1,000円 
お申込み:地点 http://chiten.org/  TEL. 075-888-5343
*観劇・観能の対象公演もプログラム参加者でなくともご覧いただけます。チケットについては会場にお問合せください。
 
 
1256_128.png パンフレットダウンロードはこちら
 
 
本プログラムはアンダースローで2014年、2015年、2017年に開催された「カルチベート・プログラム」を前身とするものです。過去のプログラムについては下記をご覧ください。
カルチベート・プログラム2014 culpro2017_banar_2015_01.pngカルチベート・プログラム2014 報告エッセイ集